【台風・豪雨災害と自治体の役割について考える議員研修会@神戸】

2月5、6日に自治体問題研究所主催による「台風・豪雨災害と自治体の役割」という緊急議員集会が神戸市内で開かれました。各地での大規模災害が頻発している中でもあり、関心が高く、105名の参加でしたが50名以上をお断りしたとのことでした。
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<行政の災害保護責任と防災自治>

 1日目の前半は、兵庫県立大学大学院の室崎益輝教授による「豪雨災害と自治体の防災・減災対策」として、災害の歴史や阪神大震災以降、近年の大災害での教訓を明らかにするとともに、特に印象的だったのは「行政(国・自治体)には、災害から国民・住民の命と暮らしを守る責任(災害保護責任)がある」ということです。

 災害対策基本法には国・都道府県・市町村の責務が規定されていて、防災の第一義的責務は市町村が負う「防災自治」という考え方、公的責任と自己責任が車の両輪であり、その隙間を互助と共助で補うということが語られました。

「行政は、その災害保護責任を果たすために、被害軽減や住民保護さらには防災教育のための必要な対応を取ることが義務付けられているのであって、行政の限界を口実に、その責務を放棄してはならない」と強調され、よくある行政の防災講座で「行政は頼れないから地域で助け合って」と当たり前のように言われることを問い直す必要性を感じました。
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<岡山県総社市の寄り添う防災、災害対応>

 1日目の後半は、平成30年7月の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県総社市の市民生活部長・新谷秀樹さんによる「寄り添う防災、寄り添う災害対応」という実践報告でした。

 総社市では、7月6日から7日にかけて高梁川の支流・小田川への逆流現象による決壊で浸水した被災地に対し、11日に災害対策本部の現地出張所を設置し、災害ボランティアセンターも併設。ボラセンは8月末まで、行政出張所は11月末まで設置し職員が常駐したそうです。

 現地出張所では、各戸訪問し住民との顔の見える関係とニーズ把握に努めること、復旧活動や相談対応、各種申請手続きにおいては「即断即決」ですべて一任されたので、市役所とのタイムラグもなく、被災者のために自由に使えるお金もあり、「災害の時は行政ルールをギリギリまで下げて、基本的には『できる』という立場から対応」「同時に、寄り添いすぎず住民の力を引き出す支援」「一歩先を見据えた支援」に取り組んだそうです。

 被災地の下原地区は東日本大震災の時から自主防災組織づくりに取り組み、マップ作りや夜間の避難訓練にも取り組んできたそうで、そうした防災自治が根付いていたことも印象的で、ぜひ、総社市の取り組みを佐賀市でもみんなで共有したいと思いました。
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<ダムに頼らぬ防災行政〜効果的な河川改修や開発規制こそ>

 2日目の前半は、神戸大学名誉教授の田結庄良昭(たいのしょう よしあき)さんによる「土石流など土砂災害や河川氾濫、ダム問題のメカニズムと自治体の役割」という講義でした。

 田結庄さんは、河川氾濫、内水氾濫、土石流、土砂崩れ、斜面崩壊がどうやって起きるのかというそれぞれのメカニズムについて語るとともに、どうすれば防げるのか、被害を減らすことができるのかということをわかりやすく示されました。

 その中で、各地で起きる災害は、現在の国の治水行政が大型ダムやスーパー堤防を重視し、危険な河川の改修は遅々として進まないこと、崖付近や谷出口での開発を野放しにしてきたことなどによる「人災」だと指摘。本来は河道拡幅、浚渫、破堤防止に有効で安価なアーマーレビー工法による河岸の構造強化などの河川改修や土砂災害に対しては透過型砂防堰堤の設置や崖面のアンカー工やのり枠工、崖付近や谷出口、河川の交差地点など危険な地域での開発規制などに取り組むべきと強調されました。

 国の防災予算が減らされ、自治体では防災担当職員が減らされている現実を変えることも必要、と強調されたのも重要な指摘でした。
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 この後、2012年8月豪雨で被災した京都府宇治市志津川地区のその後の防災のまちづくりの取り組みについての特別報告もなされました。
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<予防・減災と、災害で助かった命のその先を考える対策を>

 2日目の後半は、神戸大学名誉教授の塩崎賢明(しおざき・よしみつ)さんによる「豪雨災害と避難・生活再建〜自治体の役割」という講義でした。

 塩崎さんは、台風15号で大規模停電した千葉県で災害対策本部が設置されたのが台風上陸の翌日だったのに対し、江戸時代も含めた災害史にふれ、安政江戸地震(1855年)の時は発災2時間後に対策本部を設置、3日後には御救小屋を建設していたと指摘。

 また避難に関して「早めの避難」は現実的か?その環境はどうか、という点で災害関連死が増えていることや、国際的な水準と比較して日本の避難のあり方、仮設住宅や復興に向けた施策の貧しさを浮き彫りにする話が次々に。これについては、海外の事例を別の機会にご紹介します。

 さらに鳥取県の災害ケースマネジメントと「防災及び危機管理に関する基本条例」が2018年3月に生活復興支援体制の構築を目的に改正されたことなど、認識を新たにしました。
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 最後に広島民主商工会の川辺尊文さんから、西日本豪雨災害時の経験を踏まえて、中小小規模事業者向けの補助金【グループ補助金】申請の実際についての紹介もなされました。
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 限られた時間の中でしたが、「命あっての物種」で済ませることなく、被災者が人間らしい生活を取り戻せるように支援する事を柱に据える必要性を痛感する貴重な研修でした。

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