自民党の改憲草案は、それ自体が憲法違反

 今日は、5月3日の憲法記念日集会の第1回実行委員会が開画像かれました。

 実行委員会の冒頭に憲法のミニ学習会をするということで、私がチューターを担当しました。

 憲法9条の会などが中心になった実行委員会なので、9条に関することはみなさんもちろん、よくご存知です。ただ、いま問題になっている安倍政権のもとですすめられそうな憲法改悪の動きについて、そもそもの自民党の改憲草案をきちんと知らなくてはならないのではないか、という話から、自民党改憲草案について学ぶというのが今日の学習会のテーマでした。

 これについては、「自民党改憲草案の危険なねらい」など、しんぶん赤旗をはじめ、いろんなところで特集がなされていますので、それらを参考にしつつも、やはり、原文をあたるということが大事ではないかと考え、今日の学習会では、自民党の改憲草案そのものをテキストにしました。

 改憲草案は上下に分けて上に改憲案、下に現行憲法が書かれ、どこをどう変えたかを明記されているので、そのまま比較できます。比較すると、いかに現行憲法をねじまげているのかがよくわかります。

 もともと憲法は、1215年にイギリスでジョン王に対して貴族達がその権限を制限する契約を結ばせた「大憲章(マグナカルタ)」から始まったともいえます。フランスとの戦争に負け、従来なら退位か死を迫られたところを、在位し続け、さらに戦争を続けようとしたジョン王に対して貴族の怒りが爆発し、勝手なことはさせない、ということでマグナカルタを制定し、ジョン王もそれを認めることで退位を回避したとも言われています。

 つまり、憲法は国が国民に守らせるのではなく、国民が権力者を縛り、守らせるというスタンスです。

 戦前の大日本憲法は天皇に主権があり、その命令は絶対であり、その統治の下に侵略戦争が行われたという経緯があります。その深い反省に立って、日本国憲法は「主権者が誰か」「誰が政治を行うのか」「どのように行うのか」ということを「国民主権」の立場から明快に説いています。
 そして、政府の行為によって再び戦争の惨禍を繰り返さないようにする、ということを高らかに謳いあげています。
 また、この憲法に保障されている基本的人権は、人類が長い間かけて自由や平等を求めて闘った末に獲得したものであり、侵すことのできない永久の権利として現在と将来にわたって与えられるし、それは人類普遍の原理だとしていることも重要です。
 そのうえで、この原理に反する一切の憲法、法令、詔勅を排除する、としていることも忘れてはなりません。

 憲法の最後には、この憲法を尊重・擁護する義務を負うのは「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員」と規定しており、「国民」ではありません。

 さて、そのことを押さえてみ画像ると、自民党の改憲草案は、まず天皇を「元首」と定めており、天皇の国事行為に対する政府の立場も「助言と承認」ではなく「進言」(目上の者に対して意見を申し述べること)と変わっていますし、最後の憲法遵守義務も、「国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員」として、「天皇又は摂政」を除いています。それどころか、その前に102条本文で「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」と規定しており、誰のための憲法なのかを逆転させています。

 戦争放棄ではなく、国防軍を創設して軍事裁判所を設けることや機密の保持などを規定することで、9条のなしくずしはもちろんのこと、知る権利や表現の自由、思想信条の自由、結社の自由なども危うくなることがみてとれます。

 基本的人権を守る、と言いながらも「公益や公の秩序に反しない限り」という制限付になっており、労働基本権(団結権、団体交渉権など)を保障するという一方で、公務員についてはその権利の全部又は一部を制限できる、と定めているのです。

 現行憲法は個人としての権利を尊重していますが、自民党案では「家族」を規定し、「家族は互いに助け合わなければならない」としています。これにより、離婚せざるを得ないとか、介護施設に入所させたいとか、保育所に子どもを預けたいとかの具体的場面では、「家族で助け合いなさい」という口実にされかねません。
 
 そのほかいろいろ問題がありますが、びっくりするのは地方自治の規定です。

 現行憲法は92条で「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める」としているのですが、改憲草案では「住民に身近な行政を自主的、自立的かつ総合的に実施することを旨として」
 「住民は、その属する地方自治体の役務の提供を等しく受ける権利を有し、その負担を公平に分担する義務を負う」とまで言っています。

 93条で「地方自治体は、基礎地方自治体及びこれを包括する広域地方自治体とすることを基本とし」で道州制の可能性をふくませていますし、「国及び地方自治体は、法律の定める役割分担をふまえ」としていることで、いわば国は安保・外交問題にし、社会保障など「身近なテーマ」は地方がその責任でやりなさい、というわけです。

 しかも96条で地方財政にも言及して「地方税その他の自主的な財源をもって充てることを基本」として、どうしても足りない時に、国が「法律の定めるところにより、必要な財政上の措置を講じなければならない」としています。

 こうして見てくると、改憲草案は現行憲法の大事な原理にことごとく反しているといえるのではないでしょうか。

 しかも、こんな憲法違反の「改憲草案」を平気で提案してくるような人たちを政府にすえることは、「憲法を不断の努力で守らなくてはならない」という国民の努めに照らしても、本当はおかしなことと言えます。

 憲法9条の改定問題だけでなく、全体を見たときに「自民党の改憲草案はそれ自体が憲法違反であり、検討にすら値しない」と断言したい、これが今日の学習会の一致した認識となりました。

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