世界自然遺産の島の観光行政と課題~屋久島町役場での聞き取り

 屋久島町の商工観光課は宮之浦支画像所、旧上屋久町役場にあります。あらためて紹介しますと、屋久島は鹿児島市から南へ約130kmの海上に位置し、面積502.9k㎡のほぼお碗をかぶせたような円錐形の島で、全国では佐渡島、奄美大島、対馬島についで4番目に大きな島です。平成20年に旧上屋久町と旧屋久町が合併して屋久島町となり、現在の人口は13500人あまり、6555世帯です。

 島全体の8割が国有林で民有地は2割。真ん中が標高の高い山と原生林に覆われていて、人里は海に面した島のぐるりの部分だけですから、近道と言うのはなく、ひたすら山手線のように目的地に向けて周回するしかありません。 代表的な港は島の北北東にある宮之浦、そして北東に屋久島空港、時計回りの3時の方向にもう1つの港、安房があります。宮之浦と安房の間は車で約35分。島を一周するには170分、3時間弱かかります。そして、旧上屋久町役場は宮之浦に、屋久島町役場は宮之浦から65分、時計版で5時27分くらいの尾乃間というところにあります。

 そういう地形だということを頭にうかべてお読みください。

もう一度、屋久島町の商工観光課は画像旧上屋久町の宮之浦支所にあり、対応する議会事務局は尾乃間にありますから、議会事務局職員の木原さんという方は1時間以上かけてきてくださったと言うわけです。
 さて、役場では商工観光課の寺田課長が観光行政全般について、また観光係の内田さんがエコツーリズムについて話してくださいました。

屋久島は九州一高い宮之浦岳をはじめ、「海上アルブス」といわれる標高の高い山岳地帯と里地、海辺という自然環境に恵まれ、「ひと月に35日雨が降る」と言われるほど雨が多いことで有名です。鹿児島市の年間平均降水量が2237mmなのと比べると、屋久島は平地でも年間4600mm、山間部では8000~10000mmに達するそうです。mた、同じ島内でも島の東部では降水量が多く、南部・西部では少ないという特徴や、夏場は東部・南部で天候が悪く、冬場は季節風の関係で北部・西部の天候が悪い、などの特徴があるそうです。

 年間平均の気温は屋久島測画像候所では19,1℃(最高32.4℃、最低4.6℃)、南部の尾乃間では平均19.8℃ですが、山頂部では平均6~7℃と推定され、冬場は数ヶ月も雪に覆われるのだそうです!そういえば、昨日、西部林道を車で走っていると、今頃の季節に満開の桜がありました。つまり、小さな島で亜熱帯から冷温帯までの自然を有しているというわけで、それだけ自然が豊かなのです。

 屋久島では以前から宮之浦岳などをめざす登山関係者が多かったそうですが、平成5年の世界自然遺産登録を機に、観光客が倍増しているそうです。また、ウミガメの上陸頭数が日本一ということもあり、その産卵地としてラムサール条約に登録されており、これをみようという観光客や子どもたちの自然体験なども増えているようです。昨日泊まった「屋久の子の家」のある永田浜がもっともウミガメの上陸が多く、年間2000頭以上、多いときは6000頭にもおよぶとのこと。4月下旬から5月にかけてがシーズンだとのことです。

しかし一方で自然が荒らされるという矛盾を抱えており、たとえば登山家のマナーそのものは向上しているとしても、訪れる人が増えるほど、登山道が踏圧で傷み、雨で流失するという被害にあうのだそうです。自然遺産という意義に照らして、将来的に入山規制をかけざるをえないということで、試験的にゴールデンウイークや夏休み期間中は、自家用車での入山は制限して、シャトルバスだけにすることなどが語られました。

 世界自然遺産に登録されてから、林業はほとんど衰退し、あらたに木を伐採するのでなく、埋もれた倒木を掘り出して加工するというくらいにとどめているそうです。また、米作も自家用以上に島民全体をまかなうほどには作れず、内地からの「輸入」が主で、島の特産物はぽんかん、たんかんといったかんきつ類です。逆にこの間増えている職業は、ガイド業、民宿、レンタカーなど観光に関する分野だそうです。
 とはいえ、ガイド業も勝手にやっていた昔と違って、自然遺産をしっかり守り、生かすという観点をもって一定水準のレベルをたもち、価格も一定の基準を保つことが必要、ということでガイドの登録制が行なわれています。人によっては年間収入が1億にもなるというガイドもおられ、それが島外の人、というのでは町にとっても還元がないので、登録ガイドは島に住民票を置くことが前提になっているそうです。

 自然遺産を見たい、見せたい、という思いと同時に、将来にわたって島の自然を守るためには、一定の制限をかけ、狭い島で受け入れることのできるキャパシティに応じた対応をどっしりした構えでやっていくこと、島の自然の意味をよくわかってもらうこと、ということがエコツーリズムにつながっています。
 「観光開発して、たくさんの人にきてもらおう」という単純な発想だけではやっていけないということです。また、屋久島の自然に思いいれの深い島民や自然環境を守る運動に携わっている人たちにも支えられているというのも伝わってきました。

 京都の苔寺などが、苔を守るために、拝観するには事前にハガキで申し込んで、許可があって初めて拝観できるという制度をしいているのと共通していると思いました。

 それにしても、初めて屋久島の自然に触れて、わずか1日ではありましたが、必ずゆっくり訪れてみたいと思わせるものが確かにありました。屋久島で、地球の鼓動を聴いた気がしました。

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    Excerpt: 屋久島町[やくしまちょう]は全国1181位(鹿児島県内 24位)となる13,761[人]人の人口を抱える鹿児島県の都市である。鹿児島県の屋久島にある自治体である Weblog: patmap都市情報 racked: 2010-03-05 01:25