プルサーマルは破滅への道

 昨日、保険医協会主催でプルサーマル問題の画像市民公開講演会が7時からアバンセでありまして、時間の許す範囲で参加しました。テーマは「プルサーマルは破滅への道~地球・人類の歴史とエネルギー」ということで、講師は京都大学原子炉実験所の小出裕章先生。会場は立ち見が出そうなくらいで、150人くらいでしょうか、ぎっしりでした。

 専門家の難しい話かと思ったらさにあらず、地球誕生、人類誕生の歴史から解き明かし、そのなかでエネルギーがどのように使われてきたのか、いま依存できるエネルギーは何なのか、ということを前提としてたっぷり話していただきまして、その上に立って原子力エネルギーに頼ることの危険性、とりわけプルトニウムの恐ろしい毒性、「プルサーマル計画」の無謀さ、ということを、これは専門家が子どもに話すようにわかりやすく話してくださいました。

 そのうえ、話し方そのものが情感豊かで、地球と人類を本当に大切に思いながらの話だなあ、と胸にしみるようなものがありました。

 話の中で印象的だったことをいくつかご紹介します。

▼地球は46億年前に誕生したと言われますが、地球の歴史を1年として1月1日から時をたどれば、人類が出現したのは、なんと12月31日の午後4時ごろ!それから、エネルギーを本格的に使い始めたのは産業革命以後の200年くらいですが、これも、「地球の1年」になおすと、なんと12月31日午後11時59分59秒からの時点にしかならないそうです。
 しかも、驚くなかれ、そのわずか200年の歴史の中で、人類誕生以来数百万年かかって使ったエネルギーの6割を消費しているそうです。

▼地球上ではたくさんの生物種が誕生しては絶滅をしてきたわけですが、1900年くらいまでは「絶滅種」は1万種くらいで推移していたのが、とくに20世紀以降に激増し、2000年には50万種が絶滅しているそうです。

▼ただし、人類が絶滅しても、地球自体がこわれるわけではない、というのです。驚くべき話ですが、スリーマイル島の原発事故の7年後、炉心の調査のために水底深く沈めた圧力容器のふたを開いたとたん、うごめく物体によってたちまち水が「夏の腐った池」のようににごってしまったそうです。それは、単細胞の微生物から、バクテリア、菌類、わかめのような藻類までが炉心の中に繁茂していたのだそうです。人間なら1分以内で死んでしまうような強烈な放射線が飛び交っている場所に生物がいた、ということの驚きとともに、調査作業のために殺菌剤のオキシドールを投入して作業しても、一度殺されたはずのそれらの生物は驚異的な生命力で再三再四復活し、以後何ヶ月にもわたって作業の妨害を続けたそうです。なんと空恐ろしい、SFの世界そのままではありませんか。
 ただ、小出先生は何が言いたかったかというと、人類が滅んでも、地球の生物が絶滅するわけではない、人間はそういう意味では「霊長類」などと思い上がった存在でなく、単なる「生物種」のひとつにすぎないのだということ、そして、そんな「人類」がたかだかわずかな存在期間の中で地球のエネルギーを大規模に消費していることの問題点、なのです。

▼もうひとつは、「石油エネルギーはあと○年しかもたない。だから次は原子力だ」という宣伝の大うそに、だまされてはいけない、という話です。
 小出先生が原子力工学を志したのは、まさに「石油はもう限られている」という宣伝に「のせられた」からだそうです。
 おもしろいグラフが示されました。

 1930年代、世界恐慌の頃、「石油はあと18年しかもたない」と言われ、日本はエネルギー資源を求めて満州への侵攻を開始しました。
 1940年代、太平洋戦争開始の頃は「石油はあと24年」といわれ、1960年代以降、所得倍増計画の時代や東京オリンピックの時代には「石油はあと35年」、さらに、1990年台にはいると「石油はあと45年」、2000年以降の今や「石油はあと50年しか持たない」と言われているのです!

 おかしいじゃないか!1930年代に「あと18年しか持たない」はずの石油が2007年の今「あと50年」とは!?つまり、石油は今後開発される油田を考えればあと100年はもつ、とのこと。最近発掘が進んでいる天然ガスだけで1000年、石炭も究極の埋蔵量は1000年の需要を満たす、といわれているそうです。

 いっぽうで、原子力の資源であるウランエネルギーは石油の数分の1、石炭の50分の1しかないということで、全然安定していない、ということをまず押さえとかなくてはいけない、という話は、私としては「へ~そうなのか!」でした。

▼さて、肝心のプルサーマルですが、まず、原子炉でウランを燃やすことの危険性についていうと、ヒロシマ型原爆でもえたウランは800g、長崎原爆で燃えたプルトニウムは1050gだったのに比べ、今では標準となっている100万kWの原子力発電所が1年間で燃やすウランはなんと1000kg、広島や長崎に比べて1000倍のウランを燃やすというわけ。

 1986年にチェルノブイリ原発の事故が起きたときは、炉心にヒロシマ原爆の800発分の死の灰を抱えていたそうです。それが事故で飛散し、14万5000k㎡にわたって「放射線管理区域」に指定しなくてはならないほどになったそうです。いまだにそんな汚染地区に500万人以上が生活しているわけです。

▼「プルサーマルでリサイクル」なんて九電の能天気なキャッチフレーズをお腹に貼り付けて佐賀市営バスが走っているのを見ると、寒気がするのですが、ホントのところ、プルトニウムは100万分の1グラムを吸い込んだだけで肺がんを誘発するとう、人類がかつて遭遇した毒物の中で最強の部類に属する物質だそうです。

 プルトニウムとウランの毒性を比較すると、年間摂取限度量でウラン235(燃えるウラン)の場合、吸い込んだ時で年間2,1mg、ウラン238(燃えないウラン)の場合、年間14mg、それに対してプルトニウムは0.000052mgが限界だというわけです。
 ところが、プルサーマルで資源エネルギーとして使うなら、数十万~数百万トンに及ぶプルトニウムを社会の中に循環させることになるわけで、「それでホントにいいんですか」といいたくなります。

▼プルサーマルを一言でいうときに、「ウランとプルトニウムを混ぜた混合燃料(MOX燃料)をウランを燃やすために設計された軽水炉で燃やすのだ・・・・という説明をされますよね。で、何だかわからないけど危ないんだろう・・・という感じで受け止めてきたのですが、今日の小出先生のたとえは一発で通じました。

 つまり、石油ストーブを使うときは灯油しか使ってはいけません、ガソリンは使ってはいけません。どちらも燃えるけど、燃える温度が違うので危険ですからね・・・と言われているではありませんか。それと同じだそうです。 灯油とガソリンを混ぜて石油ストーブをたこうとしているということなんですね。お~こわい!!これで事故が起きないはずがないではありませんか!!

 とまあ、ここで私に許された時間は終わりで、途中で退出しなくてはならなかったのですが、それでも十分にプルサーマルの恐ろしさがわかりました。

 すると、古川知事やプルサーマル推進の方たちは、どこまで「安全神話」を信仰しているのか、とおそろしくなりますね。今度の知事選や県議選は、そういう意味であらためて答えを出さなくてはならない機会となりますね。

 参考までに、県議会では、プルサーマル推進決議に自民・公明が賛成。民主は退席。
 2月の県民投票条例には、自民・公明・民主が反対、無所属、県民ネット、リベラルは賛成でした。佐賀市選出の県議さんは、無所属1人を除いて全員プルサーマル容認、または推進
ですから、ここはひとつ、「きっぱり反対」の勢力を増やさなくては、ですね!

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  • みなさんに知らせたい!「プルサーマル計画」の無謀さ

    Excerpt: 佐賀市の日本共産党市会議員の山下明子さんのブログから (プルサーマルの無謀さ、地球のことを知ってほしくて転記) プルサーマルは破滅への道      2007/03/14 16:56 .. Weblog: ひとみちゃんにも ちょっと言わせて racked: 2007-03-19 23:55
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    Excerpt: 明子さんのところの知事さんにも聞かせてやりたいね。高知知事の ことば。 「土佐高知の雑記帳」を読んだら、知事さんもいろいろやね~と思うた ばい。 町や高知のことだけでなく、何万年も先まで考えよ.. Weblog: ひとみちゃんにも ちょっと言わせて racked: 2007-04-01 22:20