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help リーダーに追加 RSS 傷つけあう家族〜DV・虐待の被害当事者が語る講演会

<<   作成日時 : 2008/01/27 12:21   >>

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 昨日の午前中に、DV(ドメスティッ画像クバイオレンス=家族や近親者からの暴力)の被害を受けた当事者である藤木美奈子さんの講演会に参加しました。DV被害者の就労支援に取り組む市民団体「黄色いりぼん」代表の田崎エミさんからご案内をうけていたものでした。

 藤木美奈子さんは、母方の祖母が佐賀県大町町出身、祖父が福岡県柳川市出身とのことで、九州にも縁のある方だそうです。若くして両親を失った藤木さんのお母さんは在日コリアンのお父さんと恋愛関係となり、藤木さんをお腹に宿したそうですが、民族差別のために結婚を許されず、お腹の小をおろすように、と連れて行かれた産院で、すきをみて逃げ出し、大阪までたどりついて、アパートの一室で産婆さんにとりあげられたのが藤木美奈子さんだそうです。

 それから、母子ふたりであちこちを転々とするのですが、「子どもに日本人の父親が必要」と思ったお母さんが一緒になった男性=義父は、事業に失敗したあと、仕事もせずにお酒を飲み、お母さんが夜の仕事に出ながら一家を支えるという生活になります。
 藤木さんはその義父に11歳の時から性的虐待を受けるようになりますが、それを誰にも言えず一人で抱え込んで義父を怖れ、憎みながら暮らしていくことになります。

 やがて、家をでるため画像に逃げるように18歳で結婚した相手は、空手道場の先輩で地方公務員でした。ところが、結婚してから間もなく、その夫はちょっとしたことでひどい暴力をふるうようになります。
 7年間の結婚生活の中で、藤木さんは、暴力を受けている間は「自分が我慢すればいい」「夫が怒らないようにすればいい」「暴力をふるい始めても、早く終わるように受け流せるよう、身を守れるよう」ということばかり考えて、「なぜ自分がこんなめに会わなければいけないのか」「夫が悪い」という考えにはいたらなかったというのです。

 その後、夫から逃げ出した藤木さんは自立のために仕事に就きますが、仕事先にまで追いかけてくる夫の影におびえ、人との人間関係をうまく結べないまま、仕事もうまくいかなかったそうです。夫の急死によって、DVの恐怖から逃れた藤木さんでしたが、勤め先で人間関係がうまくいかずに仕事が続かない藤木さんは「自分はもう社会に存在する必要ない」と思うようになります。

 その藤木さんに転機が訪れたのは、大阪府の職業訓練校での講座を受けるようになってからです。売春防止法の趣旨でつくられた女子職業訓練施設が前身であるため、さまざまな事情をもった女性たちがそこで資格を身につけようとがんばっていたそうです。
 藤木さんも、さまざまな資格取得にとりくみますが、なかでも「以外に役に立った」のは、マナーの講座だったそうです。幼いときから極貧生活で、まともな躾をうけていなかったために、(ちなみに、母子家庭だと後ろ指をさされないために、とがんばりぬいて、転校を繰り返しながらも学校の成績はいつも優秀だったそうです)箸の上げ下ろし、戸の開け閉め、座布団への上がり下がり、ペン習字などを習うことによって「社会的に適応」できるようになり、コンプレックスを克服できたそうです。

 いま、藤木さんは再婚し2人の子どもに恵まれ、社会的弱者といわれる人たちの起業支援にとりくみつつ、大阪市立大学の大学院で社会的弱者の更正プログラムについて施設での実践を通じて研究しているところだそうです。

 藤木さんの話で印象的だったのは、こんなことです。

@DVはどこでも起こりうること。その関係性は夫と妻、親と子ども、教師と生徒、上司と部下など、いろいろな場合があるが、肉体的、経済的、社会的に優位な者が弱者をいじめるという構図は共通している、ということ。

ADVを察知した時、迷わずに弱者の立場に立つべきなのに、なぜか「強者の側」に立ってしまう風潮があること。

BDVの加害者は、もと被害者であることが多い。少なくとも幸せな人は他人を傷つけようとはしない。自分が不幸であり、他人を信じられないから、自分より立場の弱いものを支配することによって、自尊心を保とうとする。そういう背景を把握しながら加害者に対応することが大切。

C被害者も放置すると加害者になりうる。暴力がひどい時は介入しやすいが、問題は、その暴力から解放されたあとの後遺症。被害者はひどい人間不信や自己否定に陥っている場合が多く、それは見落としがち。むしろ、暴力がやんで「安全な状態」に移行してからのフォローが大切。

Dホームレスでも最初からホームレスだったわけではなく、そうなっていく過程がある。刑務所の受刑者にたいしても、出所したあとの社会のしくみは無策にひとしい。一度つまづいても「生き直す」ことのできる仕組みとまなざしが今の社会に必要だということ。

E暴力は、一瞬にして相手を支配する力を持つ。どんな理由があれ、暴力は悪である、という立場に立ちきること。暴力を容認する態度をとらないこと。たとえば、「男なら手のひとつやふたつ、出ちゃいますよね」などという言い方をされても決して相槌をうたないこと。そんな言葉が出されたら、ふと空を見上げて無視しよう!

F子どもの学ぶ機会をうばわないこと。学べないままの子どもを社会に送り出すことは損失である。「家族の面子」のために、暴力の起きる家庭を無理に守ろうとする必要はない。そんな家庭なら思い切って解体したほうが子どものためである。愛情をかけた教育は他人でもできる。

G暴力を受ける側もあきらめずに人を信じて生き抜いてほしい。

 というような話でした。

 聞いていて、強い衝撃をうけ、考えさせられることもたくさんありました。私も、あるホームレスの男性の相談にのって住居がみつかったあとも、(その男性は元妻に暴力をふるって一度刑務所に入っていたことがあるために全国を渡り歩いており、それが深い傷となっていたわけですが)「自分は社会に役に立たない、死んだほうがまし」という言葉を口走ることがあるのを思い出しました。
 そういうひとことを聞き流さずに、きちんとむきあって、社会的に自身をもって生きなおせるようにサポートすることが本当に必要だとあらためて感じました。

 2006年度に県内でDVから逃れるため画像に緊急避難したのは女性83人、子ども66人の計149人ということで、会場の後ろには、この施設の入所者の靴が並べられていました。

 また、藤木さんの著書「傷つけあう家族〜DVをのりこえて」という本が販売されていたのですが、すぐに売り切れてしまい、講演のあと紀伊國屋書店でたった一冊残っていたこの文庫本をさっそく買い求めました。あげくに、わずか3時間で読みきってしまいました。

 藤木さん自身がDV被害当事者として名前も顔も出して語り続けることの意味が、とてもよくわかりました。それは、現在被害にあっている人への励ましであり、相談に乗っている人への助言や示唆にもなるということです。

 県内で行なわれている支援活動にも、もっと関心を払いつつ、できることをやっていかなくては・・・・ますは「暴力の否定」から。

☆藤木美奈子さんのサイト→http://www.psn.ne.jp/~wg-osaka/

☆ワーキングサポートセンター「黄色いりぼん」→http://www.emitsk.com/yellow/

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